夏のBBQで、毎年同じ光景を見る。
幹事を自分から立候補した人が、当日も一番早く到着して、机を並べて、炭に火をつけて、「肉と野菜、どっちから焼きますか!」と仕切っている。かなり忙しそうだ。
一方、パラソルの端のあたりに3〜4人が固まっていて、静かに肉を食べている。会話はしているけど、輪の中心にはいない。
で、18時ごろ。「明日ちょっと早いので」「用事があって」という声が数人から上がって、そのまま静かに姿を消す。
幹事の人は内心「え、もう?」と思う。帰った人は家に着いた瞬間に初めて一息つく。
悪気はゼロなんですよ、たぶん。どちらも。これがポイントです。
幹事を自分から引き受けるタイプのあるある
飲み会・BBQで「幹事、ぼくがやります」と手を挙げるのは、主にEJ系(外向型×判断型)のタイプです。ENTJ、ESTJ、ENFJ、ESFJあたり。
特徴的なのは、幹事に立候補する前からすでに動いていること。出欠確認のLINEを送る前に、候補の会場をリストアップしていたりします。
- 出欠確認のLINEを2回送っても返事がない人に、個別で電話をかける
- 当日、誰よりも早く来て炭の準備を一人でほぼ済ませている
- 全員が食べているか常にチェックしているため、自分はなかなか食べられない
- 帰りの電車でもう「次は海でどうですか」と言い出す
- 会が盛り上がっているのを見て満足しているが、実は一番疲れている
このタイプにとって「会を成立させること」自体がエネルギーの補充になります。全員が楽しんでいる絵が、このタイプの充電になる。だから幹事を引き受けることが苦ではない。
問題は、周囲が「このタイプに任せれば大丈夫」と毎回頼り続けることです。本人が「もう少し交代してほしい」と思っていても、なかなか言い出せないケースが研修でもよく出てきます。
「今日、ちょっと用事が」とそっと消えるタイプのあるある
来ないわけじゃない。ちゃんと参加する。でも、気づいたらいなくなっている。
IJ系(内向型×判断型)に多いパターンです。INFJ、INTJ、ISFJ、ISTJあたり。
- 会場に行く前から「何時に帰るか」が決まっている
- 「今日ちょっと用事が」という用事の正体は、だいたい「家に帰ること」
- 帰った後にSNSで「楽しかった!」と投稿するが、体はすでに限界に近い
- 1対1の会話は弾むのに、全体の輪の中だと急に口数が減る
- 翌日の仕事では誰よりもきちんと動いている
「BBQで早退した人が冷めている」という解釈、チームの現場ではよく出てきます。ただ翌週の仕事を追うと、そのメンバーが誰よりもきちんと動いていた、というケースがくり返し出てきます。
早退は「帰りたい」ではなく、「今夜の回復時間を確保しないと来週動けない」という計算が働いているケースがほとんどです。IJ系は内側のビジョンや予定に沿って動くため、突発的な延長や2次会の誘いへの応答が遅くなることもある。これも悪気はゼロです。
途中から急に場を乗っ取るタイプのあるある
「正直、今日あんまり気が向かなくて」と参加したのに、気づいたら会の中心にいる人がいます。
EP系(外向型×知覚型)のタイプに多いパターンです。ESFP、ESTP、ENFP、ENTPあたり。
- 最初の30分は普通にしているが、1杯目が終わるころに急に話し出す量が増える
- 初対面の人との会話がなぜか一番長くなっている
- 気づいたら幹事より場を盛り上げているが、肩書きはただの参加者
- 「2次会、どこか行きますか!」の発案は大体このタイプ
場の流れに乗るほどエンジンがかかるタイプです。3次会まで付き合って帰宅が翌朝になっても「楽しかった」と言える。「ウォーミングアップに時間がかかる」という特性があり、最初だけ見て「今日元気ないな」と判断すると、その後の変化に面食らうことになります。
IP系(内向型×知覚型)はこのタイプとはまた別で、「全体の輪では静かだが、2人になると急に話し出す」というパターンが多い。INFP、INTP、ISFP、ISTPあたりがこれに近いです。飲み会の席で「あの人、あまり話さないな」と思っていたら、帰り道の2人の時間がやたら弾んだ、という光景もよく出てきます。
全部「充電の向き」で説明できる
MBTIのE(外向型)は、人と関わることでエネルギーが補充されます。飲み会・BBQは回復の場であり、帰るときが一番元気です。I(内向型)は、一人の時間でエネルギーが補充されます。飲み会・BBQは消費の場であり、帰ってからが充電のスタートです。
J(判断型)は「会がどこに向かっているか」が気になる。P(知覚型)は「今この場」を楽しんでいる。同じBBQという空間にいながら、それぞれが処理していることがまったく違います。
「なぜあの人はすぐ帰るんだ」「なぜあの幹事はここまで仕切りたがるんだ」「なぜあの人は最初暗かったのに急に元気になるんだ」。全部充電の向きと処理の順番の違いで説明できます。
チームビルディングの現場で繰り返し出てきたのが、「飲み会に来ない人はやる気がない」という評価軸を持っていた管理職の方が、充電の向きを知ったあとで「そういうことか」と言う場面です。悪意の帰属が消えるだけで、チームの摩擦は大幅に変わります。
で、明日から何をするかって話なんですが
一手だけ渡します。
次の飲み会・BBQの前でも、職場のミーティングの最後でも構いません。チームのメンバーに、こう聞いてみてください。
「仕事の後、何をすると一番回復しますか?」
強制じゃなくていい。答えたくなければパスでいい。一巡させるだけでいい。
「飲みに行くと元気になる」「一人で料理すると落ち着く」「体を動かしたい」「とにかく静かにしていたい」。同じチームに、この全パターンが出てきます。
それだけで、「あの人は誘っても来ない」が「充電の向きが逆なんだ」に変わります。解釈が変わるだけで、関係の温度は変わります。
ぼくの研修では、この一問をチームに一巡させただけで、退職を検討していた社員が「そういうことだったのか」と言って気持ちが変わったケースが実際にあります。内向型の方が「飲みに行かない自分がおかしいわけじゃなかった」と初めて言葉にできた場面も見てきました。1問で関係が変わることはある。難しく考えずに試してみてください。
FAQ
内向型はやっぱり職場の飲み会に行かない方がいいですか?
行く・行かないより「行った後にどう回復するか」を先に決めておくことが大切です。飲み会への参加自体は内向型にとっても意義がある場合があります。ただし翌日の一人時間を確保する、途中で抜けてもいい、といった「出口設計」を事前に作っておくと消耗しにくくなります。
外向型の人はなぜ飲み会の翌日も元気なんですか?
外向型は人と関わることでエネルギーが補充されます。飲み会が充電の場として機能しているため、翌日もむしろエネルギーがある状態で仕事に臨めることが多いです。ただし全員が同じではなく、外向型でも疲労の出方はタイプごとに違います。
「仕事後に何をすると回復するか」の質問、職場でどう切り出せばいいですか?
ミーティングの最後か、少人数での昼食時がやりやすいです。「チームの動き方を知りたくて」と一言添えれば、分析っぽくならずに聞けます。強制せず「聞いてみる」「知るだけ」にとどめると、相手が答えやすくなります。
MBTIのタイプを、飲み会への参加の義務づけに使っていいですか?
それはお勧めしません。「このタイプだから来なくていい」「このタイプだから来るべき」という線引きは、差別の道具になるリスクがあります。タイプ論は参加の可否を決めるためではなく、お互いの回復スタイルを知るための補助線として使うのが適切です。
幹事を毎回同じ人に任せてしまうのはなぜですか?
「あの人がやってくれる」という前例が積み重なるからです。EJ系のタイプは会の運営に充実感を感じやすいため、周囲から頼られやすい。ただし毎回同じ人に集中すると負担になります。感謝を言葉にする、次回は交代を提案する、という意識が必要です。
参考文献
- Extraversion or Introversion — The Myers-Briggs Company(MBTIの内向・外向の公式解説、2026年時点)
- Isabel Briggs Myers『Gifts Differing: Understanding Personality Type』Davies-Black Publishing, 1980 — MBTI理論の原典。内向・外向の充電の向きの違いについての根拠
- 内向的・外向的診断で性格診断 — ダイコミュ(公認心理師監修)






