人に好かれようとしすぎて疲れてしまう、気づけば人間不信のような感覚になっている。INFPの方の中には、そんな心当たりがある人も少なくないのではないでしょうか。この記事では、学生時代に人間関係で悩み続けていた筆者が、一冊の本をきっかけに考え方を大きく変えた体験を、当時の具体的な場面とともに振り返ります。
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最初に

私は学生時代から長い間、人間関係について悩んできました。学校という特有の閉鎖された空間が苦手で、早く卒業したいといつも思っていたのを覚えています。
今、比較的自由な身になってみると、あのガチガチの人混みの中でよく何年間も過ごせたなと感心してしまいます。それでも当時は息苦しさを感じていましたし、なんとなくモヤモヤとした違和感がずっとありました。
息苦しさの理由

息苦しさや違和感を感じていた理由は、今思えば明確でした。人に好かれようとする気持ちが、自分でも気づかないうちに強くなりすぎていたのです。
そのため相手がどうしてほしいかばかりを気にして、知らず知らずのうちに無理を重ね、いつもヘトヘトになっていました。それなりに楽しい学生時代ではあったものの、人間関係についての考え方が定まった今になってみると、当時の自分は少し無理をしすぎていたように感じます。
考え方が変わったきっかけ

人間関係で傷つくたびに引きこもる生活を繰り返していたのですが、あるとき昔買った本を読み返したことをきっかけに、人生における考え方が大きく変わった経験が何年か前にありました。
それをきっかけに、私は人間関係で以前ほど悩まなくなり、本来悩みに使っていたはずの時間を有効に使えるようになりました。徐々にではありますが、伸び伸びと自分らしく生きるとはどういうことかを理解できるようになり、考え方は本当に大切なのだと改めて実感しました。
今でも人からどう思われているか気にしすぎてしまうところは少なからず残っているので悩むことはありますが、昔のようにいつまでもくよくよ悩み続けることはなくなりました。
気になる本のタイトルは?

タイトルはズバリ、みなさんも一度は聞いたことがあるであろう「嫌われる勇気」という本です。
最初は胡散臭い自己啓発本だなと思って少し読んだだけで放置していましたが、数年後、人間関係で気苦労が絶えないのは自分に原因があるのではと薄々気づいてから読み直したところ、考え方がガラリと変わりました。
この本はアドラー心理学をもとに、岸見一郎さんと古賀史健さんが対話形式でまとめた一冊です。心理学者アドラーの考え方をこれほど分かりやすく伝えてくれる本には、他になかなか出会えないと感じました。
本の大まかな趣旨は、自分の言動を相手がどう受け止めるかは相手次第であり、自分がコントロールできる範囲ではないということです。かなりドライとも言える考え方ですが、人間関係で悩まないためには、相対的な他人の反応に振り回されず、自分自身の価値観を持つことが大切なのだと個人的には思います。
一つ実例を
以前勤めていたアルバイト先での出来事です。みんな優しい職場だったのですが、新しく入った自分よりかなり年上の方だけは、私はどうしても苦手でした。
頑張って仲良くなろうと、進んでゴミ出しや手伝いをしていたのですが、その方は私の言動に対して何も言ってくれませんでした。そこで私は「これだけやっているのにお礼のひとつもないのか、もう一緒に働くのは無理だ」と感じ、その職場を辞めてしまいました。
当時はその人が悪いとばかり思っていましたが、今思えば、勝手に手伝っておいてお礼を言われないからと怒るのはおかしな話です。ここで本の中にある考え方を当てはめると、次のように整理できます。
善意でやったことであっても、それを快く思うかどうかは相手次第です。手伝ってもらって「ありがたい」と思うか「余計なことを」と思うかは相手が決めることであり、自分の思い通りにならなかったとしても、それは相手の責任ではないということです。
本の中には「相手を信用するのはあなたの課題であり、相手が信用を裏切ったからといって相手を責めるのは筋違いだ」という趣旨の言葉が出てきます。
デメリット

いい面ばかりかと思いきや、この考え方には気をつけたいデメリットもあります。お気づきの方もいるかもしれませんが、次のような点です。
- 合理主義者のように、人情味に欠けた人間になりやすい
- 人間不信に近い考え方になりやすい
私は、この考え方が合う人と合わない人がいると思っています。万人向けの考え方ではないことは確かなので、生理的に受け付けない方は無理に取り入れる必要はないと思います。
考え方に慣れるまではそれなりに時間がかかりましたが、今になってみれば身についてよかったと感じています。アドラー心理学の真骨頂は「課題の分離」にあると私は考えています。
すべてを人のせいにしていた昔の自分の考え方ではうまくいかないのだと気づき、当時は人のせいにするという選択をした自分自身に原因があることに気づいていませんでした。「ごはんを作ってくれない」と相手に求めるのではなく、自分でさっさと作って食べればいいだけの話だったのです。
相手の課題と自分の課題を区別する「課題の分離」ができるようになると、人間関係で悩むことは大きく減っていくと思います。
余談
余談ですが、この本を読んでいるとき、人に嫌われることを恐れるあまり苦しみ続けた人物が描かれる文学作品を思い出すことがありました。太宰治の作品には、他人からどう見られるかに悩み続ける人物がたびたび登場します。
もちろんこれは一読者としての勝手な連想にすぎず、太宰治自身がどのような人物だったかを断定できるものではありません。ただ、人に好かれようとする気持ちと苦しみの関係は、時代を超えて多くの人が向き合ってきたテーマなのだと感じました。
この本を読んで、私自身の人間関係がかなり楽になったことは事実です。同じように人に好かれようとしすぎて疲れてしまう方がいれば、ぜひ手に取ってみてほしいと思います。
FAQ
INFPはなぜ人間関係で疲れやすい、または人間不信になりやすいのですか?
INFPの方は、相手にどう思われるかを人一倍気にしやすく、知らず知らずのうちに無理をして相手に合わせてしまう傾向があると言われています。その結果、気疲れが蓄積して人間関係そのものに苦手意識や不信感を抱きやすくなるケースがあるようです。本記事で紹介した「課題の分離」という考え方は、そうした傾向と付き合っていくための一つのヒントになります。
「嫌われる勇気」はどんな内容の本ですか?
「嫌われる勇気」は、アドラー心理学をもとに岸見一郎さんと古賀史健さんが対話形式でまとめた本です。自分の言動を相手がどう受け止めるかは相手の課題であり、自分でコントロールできるものではないという「課題の分離」の考え方が中心になっています。
この考え方を取り入れるとデメリットはありますか?
本文でも触れたとおり、人情味に欠けた合理主義的な考え方になりやすい、人間不信に近い感覚に寄りやすいといった側面はあります。万人に合う考え方ではないため、しっくりこない場合は無理に取り入れる必要はないと思います。
参考文献
- 岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』ダイヤモンド社、2013年
この記事は2019〜2020年に個人サイト『予月のMBTI研究所』で公開された原稿をもとに、読みやすさの整形と現在の編集方針にあわせた注記の追加を行って再掲載しています。紹介している書籍の情報は公開当時のものです。




