11月の終わりが近づくと、人事の担当者から決まって同じ相談が届きます。「忘年会の出欠をとると、決まって数人が返信を止めるんです」。

悪気はゼロなんですよ、たぶん。返信を止めた本人は、行きたくないというより「あの数時間をどう耐えるか」を考えて固まっているだけです。

この記事では、忘年会や年末の帰省がしんどくなる理由をMBTI®で語られる軸(内向・外向、J/P、T/F)で分けて、断らずに消耗を減らす一手を置いていきます。2026年11月時点で、これから12月の予定を組む人向けの内容です。

しんどいのは「人嫌い」だからではない

まず前提をひとつ。内向(I)は人が嫌い、という意味ではありません。エネルギーの充電が「一人の時間」に向きやすい、という方向の違いです。外向(E)が優れているわけでも、その逆でもありません。

研修では最後に「仕事後、何をすると一番回復しますか?」をチームで一巡させています。飲みに行く、一人で料理する、体を動かす。同じチームに全パターンが出てきます。この場面は毎回笑いが起きるのですが、「あいつは誘っても来ない」と言っていた人が、答えを聞いた瞬間に黙ります。

悪意があるのではなく、充電の向きが逆なだけ。ここを踏まえると、忘年会の見え方が変わります。

消耗の出どころは、人によってまるで違う

「忘年会がしんどい」と一口に言っても、削られている場所が違います。ここを特定せずに「とりあえず顔だけ出そう」と言うと、対処が的外れになります。

消耗の出どころ関係しやすい軸よくある声
人数と時間の長さ内向(I)3時間いるだけで帰宅後に動けない
終了時刻が読めない計画型(J)二次会があるのか分からないのが落ち着かない
中身の薄い雑談思考型(T)誰かの愚痴の相づちに意味を感じられない
全員の空気を読み続ける感情型(F)気づくと全員のグラスと機嫌を見ている

もちろん、ひとりが複数に当てはまります。タイプで決まる話でもありません。同じINFPでも、仲のいいメンバーの会なら元気、という人はいくらでもいます。「あくまで傾向」という前提で読んでください。

ここで大事なのは、自分の消耗が「人数」なのか「先の見えなさ」なのか「空気読み」なのかを先に決めること。一手はそれに合わせて変わります。

参加前に決めておく一手

では具体的に何をするか。全員に共通する一手はひとつだけです。会が始まる前に、自分の「出口」を決めて口に出しておくこと。

方法は単純で、幹事か隣の席になりそうな人に「今年は21時で失礼します」と先に言っておきます。途中で言うと「えー、もう帰るの?」の応酬になりますが、事前に宣言しておけば、それは予定として扱われます。

消耗の出どころ別に、もう一歩だけ足します。

  • 人数と時間が重い人(I寄り):到着を開始15分後にずらさない。逆に、開始直後の「まだ人が少ない時間帯」に入って、少人数で話せる枠を先に確保する。大人数になってからだと入り込めません。
  • 終了時刻が読めない人(J寄り):幹事に「二次会の予定は決まってますか」と1回だけ聞く。分かるだけで消耗が半分になる人は、わりといます。
  • 雑談が空洞に感じる人(T寄り):聞く側に回る質問をひとつ用意する。「今年一番忙しかったの、いつでした?」くらいで十分です。話題の中身ではなく、相手の経験を聞く質問にすると会話が続きます。
  • 空気を読み続けてしまう人(F寄り):「気を配る担当」を自分から降りる。ドリンクの追加注文は、あえて一回見送ってみてください。誰も困りません。

全部やる必要はありません。ひとつだけで十分です。一手だけ渡すほうが、実際に定着します。

疲れた内向型に「飲みに行こう」は逆効果になりやすい

ここでよくある失敗を挙げます。疲れた内向型に「気分転換に飲みに行こう」と勧めてしまうやつです。

神奈川大学の資料は、ストレス解消は必ずしも気分転換だけではなく、心身が疲れている時はまず休息が先だと説明しています。睡眠と栄養をとってエネルギーを蓄えるのが先、という考え方です(出典は文末)。

年末は忙しさのピークで、すでに疲れた状態で忘年会に入ります。ここで会が続くと、回復する暇がありません。だから、会の翌日の午前は予定を入れない。帰宅後の30分は誰とも話さない。この2つを、会の前に自分の予定表に書いておいてください。

回復の手段が「人と会う」になりやすい外向寄りの人は、また別の話です。その人にとっては、会がなくなるほうが消耗になる場合もあります。自分の向きを知って、相手にも押しつけない。ここが分かれ目です。

幹事・周りの人にできること

しんどい側だけが頑張る話にはしたくないので、迎える側の一手も置いておきます。

以前、ある企業の人事から「配属の参考にしたい」と頼まれて、タイプの傾向資料を渡したことがあります。半年後、現場では「あの人は内向型だから飲み会に来ない人」というラベルが定着していました。撤回と再研修に1年かかっています。タイプで人を分類した瞬間に、道具が悪い方向に動くという実感を、いまも持っています。

なので、幹事にお願いしたいのはタイプで人を分けることではなく、選べる形にすることです。

  1. 終了時刻を案内に書く(「21時終了、二次会は希望者のみ」)
  2. 席を決めすぎない。自由席の日は、入口に近い席を空けておく
  3. 出欠の連絡が止まっている人に、理由を聞かず「出口は自由です」とだけ伝える

理由を聞かれると、人は理由を作らなければいけなくなります。それ自体が消耗です。

年末の帰省にも同じ型が使える

帰省も構造は同じです。親戚が集まる場は、人数が多く、終わりが読めず、全員の機嫌を見続ける場になりやすい。

やることは忘年会と変わりません。「帰りの新幹線は17時台」と最初に宣言する。滞在中に一人になれる時間(散歩、近所のコンビニ)を予定として入れておく。私は新幹線での仮眠が得意なので、帰省の帰り道に2時間ぼんやりできるだけで、翌日がずいぶん違います。

家族に対して「疲れるから早めに帰る」と言うと角が立つ場合は、「帰ってからやることがあるので」で十分です。嘘をつかなくても、理由を詳しく語らなくても、出口は作れます。

それでも行きたくないときは

断るのも、選択肢のひとつです。ただし、断るなら早く、短く。「その日は難しいです。お誘いありがとうございます」で足ります。長い理由を添えるほど、あとで話が膨らみます。

職場の会が業務とどう関わるかは会社ごとに違うので、評価や参加の扱いが気になる場合は、人事や上司に確認してください。この記事は参加を勧めるものでも、避けるべきと断じるものでもありません。

最後に、ひとつだけ。自分のタイプを理由に「私は内向型だから無理」と宣言するのは、おすすめしません。タイプは傾向の説明であって、免除の根拠ではないからです。消耗の出どころを具体的に言葉にして、一手を打つ。それだけで、12月はだいぶ軽くなります。

よくある質問

内向型は忘年会に出なくても評価に響きませんか?

会社や上司によって扱いは違うため、一概には言えません。心配なら、断る前に上司か人事に参加の位置づけを確認するのが確実です。一次会の最初だけ参加する形も選択肢になります。

外向型でも忘年会で疲れることはありますか?

あります。外向は「人といると充電されやすい」傾向であって、どんな場でも元気という意味ではありません。気を遣う相手が多い会や、終わりが遅すぎる会では、外向寄りでも消耗します。

早く帰ると言いづらい雰囲気のときはどうすればいいですか?

当日ではなく、会の前に幹事か近くの席の人へ伝えるのが一番通りやすいです。「終電の都合で」「翌朝が早くて」など、短い理由で十分です。事前に伝えておくと、予定として受け取られます。

自分のタイプが分からなくても使えますか?

使えます。タイプを当てるより、「人数か、先の見えなさか、雑談か、空気読みか」のどこで疲れるかを振り返るほうが実用的です。最初の15分と最後の30分で、何が一番しんどかったかを思い出してみてください。

参考文献