MCを文字に起こすと、口で聞いていたときには流れていた「クセ」が急に目に入ります。2026年10月時点で、筆者がいちばん時間をかけている推し活の作業がこれです。

配信のMCを書き起こして、同じ言い回しが何回出るかを数える。変な趣味ですが、遠征の新幹線の中でやるとちょうどいい暇つぶしになります。

口癖からタイプを読むとき、何が根拠になって、どこから先が読みすぎなのか。ここで出てくるフレーズはすべて例で、特定の誰かの発言ではありません。

口癖でタイプは当てられる?先に結論

当てられません。ただし、仮説を立てる材料にはなります。

The Myers-Briggs Companyの資料でも、MBTIは「得意・不得意」ではなく好みの傾向を表すもので、スキルや能力を測るものではないと説明されています(Myth Busting 2025)。つまり口癖は、その人の「好みの出方」の一部が見えているだけです。

筆者には失敗があります。以前、ファンの間で定説になっていた読みをそのまま「っぽい」でぼかして書いたら、数日後の配信で本人が別のタイプを話しました。ぼかした断定は、断定として読まれる。それ以来、公表がある可能性を常に残して書いています。

公表はしてないので、あくまで考察です。この前提で読み進めてください。

書き起こしで見るのは「何を言うか」より「どの順で話すか」

口癖そのものより、話の組み立て方のほうが情報量は多いです。筆者がメモする観点は次の4つ。

  • 質問に答えるとき、結論から言うか、経緯から言うか
  • 感想を言うとき、自分の気持ちが先か、場にいる人の反応が先か
  • たとえ話が具体的な出来事か、抽象的なイメージか
  • 話が脱線したとき、自分で戻すか、そのまま広げるか

この4つは、MBTIでいう判断の軸(T/F)や情報の受け取り方(S/N)と重なりやすい部分です。ただし重なる「かもしれない」だけで、一対一では対応しません。

短く言うと、口癖は点で、話の順番は線です。線のほうが外れにくい。

言い回しのクセ別・読み方の例

よくあるクセを、どの機能のヒントになりうるかで並べます。あくまで仮説の入口です。

見えるクセ(例)ヒントになりうる傾向別の読みもできる点
「みんなはどう?」と客席に振る場の反応を拾う外向のF(Fe)単にMC役を任されているだけ
「自分はこう感じた」を何度も確認する内側の基準で判断する傾向(Fi)緊張で言葉を探している
「なんでそうなったかというと」と理由を足す筋道を重視する傾向(T寄り)ファンへの説明を意識した結果
日付や場所など細部を正確に覚えている過去の具体的な記憶(Si)メモを見ながら話している
話が次々と別の話題に飛ぶ可能性に引かれる傾向(Ne)尺が押して焦っている

右の列が大事です。同じクセでも、場面や立場で説明がついてしまう。だから一つのクセでは決めません。

現場で見たときに思ったこと

現場で見ていると、MCと物販やお見送りでは話し方が別人のように違うことがあります。

MCは台本や進行に引っ張られる場面です。素に近いのは、段取りが崩れた瞬間や、機材トラブルで間が空いたときの一言。筆者は「台本のある場面」と「崩れた場面」を分けてメモします。

この分け方は、筆者の習慣である「本人が言ったこと」と「自分がそう見えたこと」を別々に書く作業の延長です。前者は一次情報、後者は自分の感想。混ぜた瞬間に考察の信頼度が落ちます。

読みすぎを防ぐためのルール

  1. 最低3回、別の日で確認する。1回の配信で見えたクセは、その日の体調かもしれません。
  2. 公表があればそれを最優先にする。雑誌や配信で本人が話したタイプが、どんな考察よりも上です。出典の媒体と日付も控えておきます。
  3. 候補は2つ以上残す。「INFPかISFP」のように、分岐点まで書いておくと外れても傷が浅い。
  4. 人柄の評価に変換しない。「Tだから冷たい」のような読みは、ファンを不快にさせる読みです。推しにも読まれて大丈夫か、を毎回自分に聞きます。

最後の項目は、とくに大事にしています。タイプで推しを裁くための道具ではなく、好きな理由を言葉にするための道具だからです。

口癖読みがファンレターや推し方に効く場面

読者から、長文の手紙を渡しても反応が薄いという相談を受けたことがあります。推しの話し方を一緒に見直して、短く具体的に書く方向を提案しました。

後日、イベントで名前を覚えてもらえたという手紙が届きました。タイプは相手を操る道具ではなく、伝え方の選択肢を増やすもの。そう実感した出来事です。

推し方は変わります。ただし推しの発言から仮説を立てた範囲での話なので、当てはまらない推しもいます。

やることは単純です。

  • 推しの最近のMCを1本選び、冒頭5分だけ書き起こす
  • 答え方の順番と、客席への振り方に印をつける
  • 仮説を一行で書き、次の配信で外れたら消す

数をこなす必要はありません。1本でも、聞き流していたときとは見え方が変わります。

よくある質問

口癖が同じなら、同じタイプですか?

同じとは限りません。口癖は育った地域や所属グループ、業界の言い回しにも左右されます。同じタイプでも口癖はばらばらなので、口癖だけで判断しないでください。

推しが公表したタイプと、自分の読みが違ったらどうしますか?

公表を採用します。本人の発言が一次情報なので、自分の読みは「なぜ違って見えたか」を考える材料にします。記事に書いていた場合は、速やかに直すのが筆者のルールです。

書き起こしは自動文字起こしでも大丈夫ですか?

下書きとしては便利です。ただ、言い淀みや言い直しが削られることがあり、そこにクセが出ます。気になる部分だけは自分の耳で確認し直すと安心です。

他人のMBTIを考察するのは失礼になりませんか?

断定せず、本人が公表していないものは考察と明示するなら、ファン同士の楽しみとして成り立つと考えています。本人を否定する読みや、私生活の詮索につながる読みは避けてください。

参考文献