又吉直樹さんのエッセイを深夜に開いたら、止まれなくなってしまって。一文ずつ追っていると、気づいたことがあって。漫才のことば。書いているときのことば。全然違うように見えるのに、根っこが同じ感じがする。芸人として舞台に立つ姿と、作家として内面を掘り下げる姿。同じ人物の中にある二面性が、ずっと気になっていたんです。
公表はしてないので、あくまで考察です。又吉直樹さんはMBTIタイプを公表していません(2026年10月現在)。以下はすべて、公開されているインタビューや著作をもとにした読み解きになります。断定ではありません。
断定しない理由、先に書いておきます
以前、ある人気芸人さんのタイプ考察記事を書いたとき、「〇〇さんはINFPっぽい」とぼかした表現で公開しました。数日後、本人が配信で別のタイプに触れていたことが広まって、コメント欄がざわつきました。そのとき気づいたのは、「っぽい」でぼかしても断定として読まれるということです。記事は全面的に書き直しました。
それからMBTI考察の記事では、必ず最初にスタンスを書くようにしています。本人が公表していない場合は、考察であって断定ではないと明示する。タイプを知ることの目的は相手を決めつけることではなく、届け方の選択肢を増やすことだと思っているので。
又吉直樹さんの記事を書くにあたって、同じ姿勢で読んでもらえるとうれしいです。
一次情報で読む又吉直樹の発言
MBTIの考察で軸にするのは、本人が語った言葉です。印象やスタイルではなく、「何を、どう言ったか」から読み始めます。配信やインタビューをMCごと書き起こしていると、話し方のクセやことばの向きが見えてくる。そこをヒントにします。
発言①「小説もお笑いも共通する部分がある」
2015年7月、『火花』が第153回芥川賞を受賞する前後のインタビューで話した言葉です(Numero TOKYO 2015年7月)。「笑かそうとしてなくていい、そのまんまの状態が書かれていたら普通に笑えるはず」とも述べています。お笑いと文学を別の軸として捉えていない。
発言②「芸人を100%やって、それ以外の時間で小説を書く」
同年7月、芥川賞受賞会見での言葉です(文藝春秋 2015年7月)。作家への転向ではなく、芸人としての活動を軸に据えながら書き続けるスタンスを明確にしています。受賞後も漫才師としての活動を続けました。
発言③「書くことは地続きにある」
オリコンのスペシャルインタビューより。芸人としての仕事と書くことを対立として置かず、「地続きのもの」として語っています。2024年の長編小説『生きとるわ』の発売時には「お笑い芸人と文筆業が初めてちゃんと合わさった」という言葉も出ています(ORICON NEWS 2024年)。
発言④「他者からの目線を意識しない選択をしてきた」
2023年8月の東大新聞インタビューより。「何かができると思われていない状態が、好きなことを突き詰める余白になった」という内容です。外から定義された自分より、内側から出てくるものを優先してきたことが伝わります。
4つの発言に一貫しているのは、外の評価軸より内側の感覚を優先するスタンスです。この向きが、MBTIで読むときの重要なヒントになります。
INFP説の根拠:内側から動く機能スタック
ここからは考察です。
INFPの認知機能スタックは、Fi(内向感情)→ Ne(外向直観)→ Si(内向感覚)→ Te(外向思考)の順番です。Fi主機能は「外の評価より、内側の価値軸を信じて動く」という向きを持ちます。
「他者からの目線を意識しない選択」という発言は、そのままFi主機能の行動パターンと重なります。周囲が「芸人が小説を書く」ことに違和感を感じる中でも、内側で「本物だ」と感じるものを追い続けた。外の評価が基準になっていない。
Ne補助機能は、異なるものの間に橋を見つける機能です。「小説もお笑いも共通する部分がある」という発言は、NeがFiと協働しているときに出やすい発見の形をしています。一見無関係に見える二つの領域の根っこにある共通のものを言語化する動きが、Ne的です。
『火花』の執筆について、プロットを作らずに書き始めたのに自然に構成がまとまったという話があります。外から構造を設計するより、内側から出てくるものに従って動く。振り返ると一貫していた、という形。これはFiとNeが協働しているときに起きやすいパターンです。
さらに「芸人を100%やって、それ以外の時間で書く」というスタンスも、外から課された役割と内側の衝動を分離して両方を持つ、という構造です。Te(外向思考)が最後に来るINFPのスタックでは、外部の組織や役割より内側の価値軸が先に動く。発言の形がそれと重なります。
ISFPとの比較:NeとSeの分岐点はどこか
Fi主機能という点では、INFPとISFPは同じです。外から見た印象も重なる部分が多い。でも補助機能が違う。
ISFPの認知機能スタックはFi→ Se→ Ni→ Teです。Se(外向感覚)が補助になるため、「今この瞬間、目の前の体験」への反応が強くなります。漫才師として舞台に立つ又吉さんの瞬発力や、コンビでのやりとりの即興性はSeの動きとも読めます。そこだけ切り取るとISFP説も成立します。
分岐点になるのは、発言の「向き」です。
ISFPが「今この感覚」に向かうなら、INFPは「異なるものの間のパターン」を見つける向きを持ちます。又吉さんの発言を並べると、感覚的な瞬間の記述より、抽象的な構造を言語化することへの向きが目立ちます。「お笑いと文学の共通点」「書くことと芸人であることが地続き」という言語化は、Se的というよりNe的です。
ただ、どちらと断定することはできません。発言の向きを見るとINFP説のほうに少し重さがある、というのが現時点の考察です。
どちらの読み方でも、推し方の一手は変わってきます。
推し方が変わるやつです、これ
タイプの考察をするのは、届け方の選択肢を増やすためです。操作のためじゃない。これがわたしの書き方の軸です。
INFP仮説で読んだ場合、Fi主機能の人へ届く言葉のポイントは「真正性」です。包括的な感謝より、具体的な一場面への観察が通りやすい。Fi機能は「この人は本当にそう感じているか」を無意識にチェックする向きを持つので、一般的な賛辞より個別の観察のほうが届くんです。
「ずっと応援しています」より、「あのインタビューの『書くことは地続きにある』という言葉が、自分の中でずっと残っています」のほうが伝わりやすい可能性があります。
もしISFP説で読むなら、言葉より「あの舞台を見て、こういう感覚になりました」という体験の共有が刺さります。Se補助の人は今この瞬間の感覚に反応するので、「感想の長さ」より「そのときどう感じたかの具体性」に重さを置くといいです。
どちらの読み方でも共通するのは、「長くて完璧な文章」より「伝えたいことを最初の一行に置く」構造が届く、ということです。タイプを知ることで、声のかけ方は確かに変わります。
※ お笑い芸人のMBTI考察については、人気お笑い芸人で見るMBTIまとめもあわせて読んでみてください。
FAQ
又吉直樹さんはMBTIタイプを公表していますか?
2026年10月時点で、公式に公表したという情報はありません。この記事の内容はすべて、公開されているインタビューや著作をもとにした考察です。断定ではありません。
INFPとISFPはどこが違いますか?
どちらもFi(内向感情)が主機能で、深い内面的価値観と芸術的な感受性を持つ点が共通しています。大きな違いは補助機能で、INFPはNe(外向直観)が補助のため抽象的なつながりや概念を言語化する動きが強く出ます。ISFPはSe(外向感覚)が補助のため、今この瞬間の感覚や体験への反応が先に来る傾向があります。
内向型なのに芸人ができるのはなぜですか?
MBTIの内向型は「人前が苦手」ではなく、「エネルギーの補充を一人の時間で行う」という意味です。Fi主機能のタイプでも、パフォーマンスの場では外側に向けた顔を持てます。内向型の芸人や俳優は珍しくなく、充電の仕方や創作の動機の向きに内向性が表れることが多いです。
又吉直樹さんの代表作は何ですか?
2015年に短編小説『火花』で第153回芥川龍之介賞を受賞しました。その後も『劇場』(2016年)、『人間』(2019年)、エッセイ集『月と散文』(2023年)、長編小説『生きとるわ』(2024年)などを発表し続けています。お笑い芸人と作家、二つの顔を持ち続けています。
Fi主機能の推しへのファンレター、何を意識するといいですか?
包括的な感謝より、具体的な一場面への観察を最初の一行に置くことです。「ずっと好きです」より「あの作品のあの一節が、自分の中でこう残った」のほうがFiの真正性チェックを通りやすいです。長さより具体性を優先することが一手になります。
参考文献
- 又吉直樹が受賞前に語った『火花』創作秘話「小説もお笑いも共通する部分がある」 — Numero TOKYO, 2015年7月
- 芥川はおそらく僕みたいな髪型のやつ嫌いやと思うんです:又吉直樹さん芥川賞受賞会見全文 — 文藝春秋, 2015年7月
- 又吉直樹、芸人としての矜恃はない「"書くこと"は地続きにあるもの」 — ORICON NEWS
- 他者からの目線 意識しない選択を 又吉直樹さんインタビュー — 東大新聞オンライン, 2023年8月
- 又吉直樹、6年ぶりの長編小説に手ごたえ「お笑い芸人と文筆業が初めてちゃんと合わさった」 — ORICON NEWS, 2024年






