進撃の巨人のMBTI考察は、エレン・ミカサ・アルミンの三主人公に集中しがちだ。ぼく自身も三主人公の機能スタック考察を書いているし、リヴァイの記事もある。だが本編94話を通して機能スタックが最も鮮明に浮かぶのは、むしろ脇を固めるキャラクターたちかもしれない。

今回は4人に絞る。調査兵団司令官のエルヴィン・スミス、同セクション指揮官のハンジ・ゾエ、憲兵団に潜入していたアニ・レオンハート、そしてマーレ戦士のライナー・ブラウン。この4人は本編にMBTI判断の根拠になる場面が豊富にあり、タイプ読みの構造がそれぞれ面白い。

根拠の出し方について先に書いておく。Season番号と話数を示しながら進める。セリフの引き写しではなく、「その状況でキャラが何を選んだか」を根拠にする。これがぼくの最低ラインだ。

エルヴィン・スミス:ENTJが最も崩れにくい仮説

エルヴィン・スミスをENTJ(Ni-Te-Fi-Se)と読む根拠は、本編に複数ある。

最も強い根拠はSeason 3後半、シガンシナ区奪還作戦のクライマックスだ。獣の巨人の一斉投石から生き残る見込みがほぼゼロの状況で、エルヴィンは全調査兵団員に前進を命じる。目的はリヴァイが獣の巨人を仕留める時間を作り出すこと。それだけだ。

このシーンで重要なのは、エルヴィンが一切ごまかしなく「全員進め」と命じている点だ。「生き残れ」でも「チャンスはある」でもない。人類の未来を守るために自らの部隊を捨て駒にする判断を、ためらいなく下している。Ni主機能が収束させた長期ビジョン(壁内人類の自由)に向かって、Te補助機能が最も効率的な手段を選んでいる。これがENTJの典型的な動き方だ。

もうひとつ積み上げられる根拠は、幼少期の「父の仮説の検証」という動力だ。父親が壁の真実を語ったために処刑された記憶が、エルヴィンの行動全体を貫いている。Ni主機能を持つキャラクターは、ひとつの収束したビジョンが長期にわたって行動の全体を規定するパターンが出やすい。エルヴィンはその典型に近い。

断定はできないが、傾向としては、ENTJとINTJで迷う場面がある。Season 3前半の王政クーデター場面群では、エルヴィンが複数の人間を動かして政治的に組織を再編している。INTJが単独で動く傾向に対し、エルヴィンはFe機能(外向感情)を使いながら人を統率する描写が多い。この点でENTJが崩れにくいと判断している。

反証として出しておくと、エルヴィンが「地下室の夢」を個人的に引きずっている描写はINTJ寄りに見える場面もある。ただそれは「Ni的な夢の持ち方」として読めて、ENTJ仮説を崩すには至らない。

ハンジ・ゾエ:Ne主機能の持続する好奇心

ハンジのタイプ読みはENTP(Ne-Ti-Fe-Si)が最も整合する。根拠は行動パターンの一貫性にある。

Season 1後半、サニーとビーンを生け捕りにして実験を行う一連の場面がある。何話の何分かは明確に覚えているが、あの場面でのハンジは巨人の痛覚・再生能力・知能の可能性を次々と検証しようとしている。恐怖や倫理的ためらいより「試してみなければわからない」という知的好奇心が前に出ている。Ne主機能(可能性の探索)とTi補助機能(内的論理による検証)が合わさったとき、こういう行動パターンが現れる。

ここ、原作だと描写が違うんですよ。諫山創の原作漫画でハンジは性別を明示しない設定になっている。アニメ版では女性として描かれているが、原作根拠で考察する場合は媒体を明記する必要がある。今回の根拠はアニメ版に限定している。

Season 3でエルヴィンが退場した後、司令官に就任したハンジの場面も参照できる。統率という役割を引き受けながら、状況への即興的な対応(Ne)と論理的な手段選択(Ti)を組み合わせる描写が続く。ENTPが組織のトップに立ったときの動き方として、本編の描写と整合する。

INTPと読む可能性も考えておく。INTPはTi主機能なので体系化と内的論理が先に来るが、ハンジは「外に向かって可能性を広げる」動きが常に先行している。感情的な興奮が外に出る場面も多い。この点でNe主機能のENTPが崩れにくい。

アニ・レオンハート:INTJ仮説と「あの結晶化場面」の根拠

アニ・レオンハートをINTJ(Ni-Te-Fi-Se)と読む根拠は、Season 1の女型の巨人篇に集中している。

まず訓練兵時代の描写から積み上げる。アニの戦闘技術は「今この瞬間の精度」より「目的に対する最小コストの追求」として現れている。感情的に昂ることなく、効率と目的の一致から動いている。ISTPのようなSe補助機能の動き方(状況への即時対応)ではなく、Ni主機能が設定した目的(任務完遂・帰還)に向かうTe機能の動き方に近い。

最も強い根拠はSeason 1終盤、アニが自ら結晶化して動かなくなる場面だ。捕獲される直前に、アニは水晶状の外殻に覆われた状態を選ぶ。これを「死の選択」として読む人もいるが、ぼくはそう見ていない。

アニの行動全体を貫いているのは「父のもとへ戻ること」だ。その目的を長期的に保全する方法として、結晶化(動かないまま生き続け、チャンスを待つ)を選んでいる。Ni主機能が設定した長期ビジョンが、Te補助機能が選んだ手段(結晶化)に接続された判断として読める。

ISTJと読む可能性もゼロではない。父への忠義心をSi-Fe機能(記憶に基づく義務感)として読む解釈にも本編の根拠はある。ただアニの行動は「過去の習慣への固執(Si)」より「特定の未来の像への収束(Ni)」に近い。この判断で、ぼくはINTJを推している。

別の読み方もできる場面であることは認めておく。

ライナー・ブラウン:「兵士人格」と「戦士人格」で機能スタックが変わる問題

ライナーはこの4人の中で最も断定が難しい。というより、今の段階では断定するべきではないとぼくは考えている。

Season 2第6話(全話通算第31話)、タイトルが「戦士」の回でライナーがエレンに正体を明かす場面がある。「俺は……兵士だ。いや、戦士だ」という混乱した告白に近い言葉が出てくる。長期にわたる二重生活で、ライナー自身が「訓練兵としての自分」と「マーレの任務を持つ本来の自分」の区別がつかなくなっているという描写だ。

「兵士モードのライナー」は、Fe-Si機能が前面に出ている。仲間への気遣い、規律の遵守、コニーやジャンたちとの人間関係の維持。ESFJまたはISFJに近い動き方だ。

「マーレ戦士としてのライナー」は機能スタックが変わって見える。任務への収束した動力と、Season 4で描かれる「己の行動の意味を問い続ける」様子はFi機能(内向感情)の動きに近い。ESFJとINFJが層になって見える、というのが今の仮説だ。

ライナーの場合、「どちらの人格が本来の自分か」という問い自体が、作品の主題として本編に組み込まれている。断定した瞬間に、作品が問いかけているものをすくい取れなくなる。Season 4後半まで含めた全体像なしに機能スタックを一本に絞るのは、このキャラクターに対して誠実ではないとぼくは判断している。

ここは留保つきで提示するに留める。

兵団所属とMBTIの傾向:本編が示すパターン

本編から読める傾向として、調査兵団には「変化を求め、壁外の真実を知ること」に動かされるキャラクターが集まっている。高い死亡率を知りながら志願するという選択自体が、Ni・Ne(直観機能)優位のタイプと親和性が高い。エルヴィン(Ni主機能)、ハンジ(Ne主機能)、エレン(Ni仮説)はその構造に一致する。

憲兵団は対照的に「既存の秩序の中で機能する」組織設計になっている。Si機能(既存の枠組みへの適合)を主機能または補助に持つタイプが馴染みやすい構造だ。

ただしこれは相関であって因果ではない。「組織がキャラのタイプを決める」のではなく「特定の機能スタックを持つキャラクターが特定の組織の哲学に引き寄せられやすい」という傾向として読む必要がある。フロック・フォルスターのように調査兵団に在籍しながら体制維持を志向するキャラクターは、この傾向の例外として機能スタック判断を複雑にする存在だ。

また、アニとライナーという二人のマーレ兵士が「外部の人間として内側に潜入する」という構造は、機能スタック読みに独特の問題を生じさせる。どちらの人格をベースに判断するかで、結論が変わる。進撃の巨人の機能スタック考察を難しくしているのは、この設定にある。

FAQ

エルヴィンはINTJとENTJのどちらですか?

本編の描写からはENTJが崩れにくい仮説だ。決め手は、政治的な組織動員の場面(王政クーデター)と大規模な統率場面(シガンシナ区奪還作戦)でFe機能を使いながら外向きに動いていること。INTJは単独での構想と静かな実行が前景に出るが、エルヴィンは「組織を動かすこと」自体を手段として活用している。どちらの読みにも本編に根拠はあるが、ENTJがやや崩れにくい。

アニはINTJとISTPのどちらに近いですか?

INTJが崩れにくいと判断している。アニの行動を貫いているのは「父のもとへ戻ること」という長期目的で、結晶化の判断はその保全として読める。ISTPはSe補助機能(今この状況の精度)が前景に出るが、アニは「今ここの効率」より「長期ビジョンの保全」を優先する場面が本編に多い。両方に根拠があることは認めた上で、INTJを推している。

ライナーのMBTIが断定できないのはなぜですか?

ライナーは本編内で「兵士人格」と「戦士人格」という二重の自己を持つキャラクターとして描かれている。それぞれが異なる機能スタックに近い行動パターンを示すため、どちらを「本来の機能スタック」とするかで結論が変わる。「どちらの人格が本来の自分か」という問い自体が、ライナーという人物の核心にあるからだ。機能スタックを断定することが、作品の問いかけを封じてしまうリスクがある。

ハンジはENTPとINTPのどちらですか?

ENTPが本編に整合する。ハンジの好奇心は「外に向かって可能性を広げる(Ne主機能)」タイプで、「内向きで体系化する(Ti主機能)」より先に「試す・探索する」が来ている場面が多い。実験シーンでの感情的な興奮が外に出る描写も、Ne主機能の動き方に近い。

三主人公(エレン・ミカサ・アルミン)のMBTI考察はどこで読めますか?

別記事「エレン・ミカサ・アルミンのMBTIを本編場面で読む」で詳しく扱っている。本記事はその補完として、調査兵団の参謀部と主要なマーレ兵士を追加で扱っている。

参考文献