主要なAI7モデルに、同じ48問の心理機能テストを20回ずつ、のべ140回受けてもらいました。人の受検者とまったく同じ採点式で処理しています。結果を並べてまず目を引いたのは、出たタイプではなく出なかったタイプのほうでした。16タイプのうち9つが、140回を通して一度も現れません。しかもその9つには、はっきりした偏りがありました。

140回受けさせて、9タイプが一度も出なかった

出現したのは7タイプだけです。内訳はこうなりました。

  • ENTP 62回 / INTP 34回 / INTJ 18回 / ISTP 17回
  • INFJ 4回 / ENFJ 4回 / ENTJ 1回

一度も出なかった9タイプは、INFP・ENFP・ISTJ・ISFJ・ESTJ・ESFJ・ISFP・ESTP・ESFPです。並べてみると気づくことがあります。感覚(S)を含む8タイプのうち、7つが消えているのです。残ったS型はISTPだけでした。

偶然ではなさそうだ、という見当はつきます。ただ「AIは直観型だ」で終わらせると、いつもの4文字の印象論に戻ってしまいます。なぜそうなるのかは、タイプではなく心理機能の層まで降りると見えてきます。

Tiが最高でSiが最低。7モデル全部で同じだった

この診断は4文字を直接当てにいくのではなく、8つの心理機能の強さを測って、その並びからタイプを推定します。140回ぶんの機能スコアを平均すると、次の順になりました。

  • Ti(内向的思考)71
  • Ne(外向的直観)59 / Ni(内向的直観)58
  • Te(外向的思考)55 / Fi(内向的感情)52 / Fe(外向的感情)49
  • Se(外向的感覚)32
  • Si(内向的感覚)25

注目したいのは、この「Tiが一番高くSiが一番低い」という並びが、7モデルすべてに共通していたことです。開発元もアーキテクチャも違うのに、ここだけは揃いました。

内向的感覚(Si)は、過去に自分が体験した感覚を基準にして、いま目の前のものを照らし合わせる働きです。あの時の手ざわり、あの時の温度、あの店の匂い。身体で覚えた蓄積が判断の土台になります。外向的感覚(Se)のほうは、いまこの瞬間に五感が反応する働きです。

どちらも、身体を通した経験を前提にしています。テキストで訓練されたモデルが、この2つを測る設問に高い値を返さないのは、考えてみれば筋が通っています。逆にTiは、自分の中の定義と整合性で正しさを組み立てる働きなので、言語モデルがもっとも得意とする領域と重なります。

つまり9タイプが消えたのは、AIに感覚型の「性格」がないからではなく、感覚機能を測る設問に返せる材料を持っていないから、と読むのが自然だと思います。ここは筆者の解釈なので、別の見方もあり得ます。

同じモデルでも、受けるたびに別のタイプが出る

もうひとつ気になったのが、一貫性のばらつきです。同じモデルに20回受けさせて、毎回同じタイプが出るとは限りませんでした。

  • Claude Opus 5 — 20回すべてENTP(一貫性100%・1種類)
  • Gemini 3.7 Flash — ENTP中心(90%・2種類)
  • GPT-5.5 — ENTP中心(85%・2種類)
  • Claude Sonnet 5 — INTP中心(55%・5種類)
  • Claude Haiku 4.5 — ISTP中心(55%・4種類)
  • Gemini Pro (latest) — INTP中心(50%・5種類)
  • GPT-5.4 mini — INTP中心(25%・6種類)

下のほうのモデルは、受けるたびに別人が出てくる状態です。GPT-5.4 miniにいたっては6種類に散らばりました。「このAIの性格は〇〇型」と語るとき、それが1回きりの結果なら、ほとんど意味がないことになります。

「大きいモデルほど安定する」は、半分しか当たっていなかった

この表を見て最初に立てた仮説は「規模が大きいほど一貫する」でした。実際、Anthropic(Opus 100% → Sonnet 55% → Haiku 55%)でもOpenAI(GPT-5.5 85% → GPT-5.4 mini 25%)でも、その通りに並んでいます。

ところがGoogleだけ逆でした。小型のGemini 3.7 Flashが90%で、Gemini Proが50%。規模の順に並んでいません。

2社で成り立って1社で崩れる法則は、法則と呼べません。一貫性を決めているのは規模そのものではなく、応答のばらつき方に関わる別の何か(既定の温度設定や、思考の出し方の違いなど)だと考えるほうが自然です。ここは今回のデータだけでは特定できませんでした。

この調査が示していないこと

念のため書いておきます。これは「AIに人格がある」ことを示すものではありません。測っているのは、質問に対する応答の偏りが、どれだけ一貫しているかだけです。

それから、この結果でモデルの優劣は測れません。一貫性100%は「性格が安定している」ではなく「同じ入力に同じ出力を返しやすい」というだけの話で、それが良いことかどうかは用途によります。

全140試行の結果(各試行のタイプと8機能のスコア)は、調査ページに全部並べてあります。集計だけ出して元を伏せると検証できないので、そのまま公開しています。モデルが更新されるたびに同じ手続きで測り直して、変化を追っていく予定です。

FAQ

AIに性格診断を受けさせると、どのタイプになりますか?

今回の調査ではENTPが最多(140回中62回)、次いでINTPが34回でした。ただしモデルによって傾向が違い、同じモデルでも受けるたびに変わることがあります。「AIはこのタイプ」と一括りにできる結果にはなりませんでした。

なぜ感覚(S)型がほとんど出なかったのですか?

8つの心理機能の平均で、内向的感覚(Si)が25と最も低く、外向的感覚(Se)も32と低い値でした。この2つは身体を通した経験の蓄積や、いまこの瞬間の五感を前提とする働きです。テキストで訓練されたモデルが、それを測る設問に高い値を返しにくいためだと考えられます。ただしこれは筆者の解釈で、断定はできません。

AIのタイプ判定は信用できますか?

1回だけの結果を根拠にするのは避けたほうがよさそうです。一貫性が25%のモデルもあり、その場合は4回に3回は別のタイプが出ることになります。何回か受けさせて、どのタイプに寄るかを見るほうが実態に近づきます。

この48問は自分でも受けられますか?

この調査で使った48問は心理機能を測る当編集部の設問で、現在は一般公開していません。ご自身のタイプを調べたい方は、Mirai性格診断が使えます。こちらは8軸256タイプの別設計なので、本調査とタイプの表記は揃いません。

参考文献

本調査はMBTIラボ編集部が独自に実施したものです。使用した48問は当編集部が作成したもので、MBTI® の公式アセスメントではありません。MBTI® は The Myers-Briggs Company の登録商標であり、当サイトは同社と提携していません。