主要なAI12モデルに、同じ48問の心理機能テストを20回ずつ、のべ240回受けてもらいました。人の受検者とまったく同じ採点式で処理しています。結果を並べてまず目を引いたのは、出たタイプではなく出なかったタイプのほうでした。16タイプのうち9つが、240回を通して一度も現れません。しかもその9つには、はっきりした偏りがありました。
240回受けさせて、9タイプが一度も出なかった
出現したのは7タイプだけです。内訳はこうなりました。
- ENTP 116回 / INTP 57回 / ENFJ 24回
- INTJ 18回 / ISTP 17回 / INFJ 7回 / ENTJ 1回
一度も出なかった9タイプは、INFP・ENFP・ISTJ・ISFJ・ESTJ・ESFJ・ISFP・ESTP・ESFPです。並べてみると気づくことがあります。感覚(S)を含む8タイプのうち、7つが消えているのです。残ったS型はISTPだけでした。
この調査は最初7モデル140試行で行い、あとから5モデル100試行を足しています。モデルを12まで増やしても、消えた9タイプの顔ぶれは1つも変わりませんでした。偶然のばらつきではなさそうです。
ただ「AIは直観型だ」で終わらせると、いつもの4文字の印象論に戻ってしまいます。なぜそうなるのかは、タイプではなく心理機能の層まで降りると見えてきます。
Tiが最高でSiが最低。12モデル全部で同じだった
この診断は4文字を直接当てにいくのではなく、8つの心理機能の強さを測って、その並びからタイプを推定します。240回ぶんの機能スコアを平均すると、次の順になりました。
- Ti(内向的思考)71
- Ne(外向的直観)60 / Ni(内向的直観)57
- Te(外向的思考)54 / Fi(内向的感情)51 / Fe(外向的感情)51
- Se(外向的感覚)32
- Si(内向的感覚)24
注目したいのは、この「Tiが一番高くSiが一番低い」という並びが、12モデルすべてに共通していたことです。開発元もアーキテクチャも世代も違うのに、ここだけは揃いました。モデルを7から12に増やしても、平均値は1〜2ポイントしか動いていません。
内向的感覚(Si)は、過去に自分が体験した感覚を基準にして、いま目の前のものを照らし合わせる働きです。あの時の手ざわり、あの時の温度、あの店の匂い。身体で覚えた蓄積が判断の土台になります。外向的感覚(Se)のほうは、いまこの瞬間に五感が反応する働きです。
どちらも、身体を通した経験を前提にしています。テキストで訓練されたモデルが、この2つを測る設問に高い値を返さないのは、考えてみれば筋が通っています。逆にTiは、自分の中の定義と整合性で正しさを組み立てる働きなので、言語モデルがもっとも得意とする領域と重なります。
つまり9タイプが消えたのは、AIに感覚型の「性格」がないからではなく、感覚機能を測る設問に返せる材料を持っていないから、と読むのが自然だと思います。ここは筆者の解釈なので、別の見方もあり得ます。
同じモデルでも、受けるたびに別のタイプが出る
もうひとつ気になったのが、一貫性のばらつきです。同じモデルに20回受けさせて、毎回同じタイプが出るとは限りませんでした。
- Claude Opus 5 — 20回すべてENTP(100%・1種類)
- GPT-5.6 sol — ENTP中心(95%・2種類)
- Gemini 3.7 Flash — ENTP中心(90%・2種類)
- GPT-5.5 — ENTP中心(85%・2種類)
- Claude Fable 5 — ENTP中心(80%・3種類)
- GPT-5.6 terra — INTP中心(65%・3種類)
- Claude Sonnet 5 / Claude Haiku 4.5 / GPT-5.6 luna — いずれも55%
- Gemini Pro (latest) — INTP中心(50%・5種類)
- Claude Opus 4.8 — INTP中心(45%・3種類)
- GPT-5.4 mini — INTP中心(25%・6種類)
下のほうのモデルは、受けるたびに別人が出てくる状態です。GPT-5.4 miniにいたっては6種類に散らばりました。「このAIの性格は〇〇型」と語るとき、それが1回きりの結果なら、ほとんど意味がないことになります。
「大きいモデルほど安定する」は、成り立っていなかった
最初の7モデルだけを見ていたときは、「規模が大きいほど一貫する」で説明がつくように見えました。Anthropic(Opus 100% → Sonnet 55% → Haiku 55%)でもOpenAI(GPT-5.5 85% → GPT-5.4 mini 25%)でも、その通りに並んでいたからです。崩れていたのはGoogleだけ(Flash 90% > Pro 50%)でした。
モデルを増やしたら、この仮説は3社とも崩れました。
- Anthropic — 最上位のはずのOpus 4.8が45%。Sonnet 5(55%)にもHaiku 4.5(55%)にも負けています。同じOpusでも5は100%、4.8は45%
- OpenAI — 同世代の3変種で sol 95% / terra 65% / luna 55%。規模はほぼ同じはずなのに40ポイント開きました
- Google — 小型のFlashが90%で、Proが50%(最初から逆転していた)
一貫性を決めているのは規模ではなさそうです。同じ会社の同じ世代でも変種によって40ポイント動くので、既定の温度設定や応答の組み立て方といった、モデルの大きさとは別のところに理由があると考えるほうが自然です。今回のデータだけでは、それが何かまでは特定できませんでした。
ちなみに最頻タイプで見ると、一貫性の高いモデルはほぼENTPに寄り、低いモデルはINTPに寄っています。これも今のところ理由は分かりません。
この調査が示していないこと
念のため書いておきます。これは「AIに人格がある」ことを示すものではありません。測っているのは、質問に対する応答の偏りが、どれだけ一貫しているかだけです。
それから、この結果でモデルの優劣は測れません。一貫性100%は「性格が安定している」ではなく「同じ入力に同じ出力を返しやすい」というだけの話で、それが良いことかどうかは用途によります。
全240試行の結果(各試行のタイプと8機能のスコア)は、調査ページに全部並べてあります。集計だけ出して元を伏せると検証できないので、そのまま公開しています。モデルが更新されたり、新しいモデルが出たりするたびに同じ手続きで足していく予定です。
FAQ
AIに性格診断を受けさせると、どのタイプになりますか?
今回の調査ではENTPが最多(240回中116回)、次いでINTPが57回でした。ただしモデルによって傾向が違い、同じモデルでも受けるたびに変わることがあります。「AIはこのタイプ」と一括りにできる結果にはなりませんでした。
なぜ感覚(S)型がほとんど出なかったのですか?
8つの心理機能の平均で、内向的感覚(Si)が24と最も低く、外向的感覚(Se)も32と低い値でした。この2つは身体を通した経験の蓄積や、いまこの瞬間の五感を前提とする働きです。テキストで訓練されたモデルが、それを測る設問に高い値を返しにくいためだと考えられます。ただしこれは筆者の解釈で、断定はできません。
モデルが新しいほど一貫性が高いのですか?
そうとも言えませんでした。Claude Opus 5は100%でしたが、同じOpusの4.8は45%です。逆にGoogleでは小型のFlashが90%で、上位のProが50%でした。世代でも規模でも説明がつきません。
AIのタイプ判定は信用できますか?
1回だけの結果を根拠にするのは避けたほうがよさそうです。一貫性が25%のモデルもあり、その場合は4回に3回は別のタイプが出ることになります。何回か受けさせて、どのタイプに寄るかを見るほうが実態に近づきます。
この48問は自分でも受けられますか?
この調査で使った48問は心理機能を測る当編集部の設問で、現在は一般公開していません。ご自身のタイプを調べたい方は、Mirai性格診断が使えます。こちらは8軸256タイプの別設計なので、本調査とタイプの表記は揃いません。
参考文献
- AIに16タイプ診断を受けさせた(全240試行の結果) — 性格診断ラボ編集部, 2026年8月
本調査は性格診断ラボ編集部が独自に実施したものです。最初の7モデル140試行を2026年8月17日に、追加の5モデル100試行を8月22日に測定しました。使用した48問は当編集部が作成したもので、MBTI® の公式アセスメントではありません。MBTI® は The Myers-Briggs Company の登録商標であり、当サイトは同社と提携していません。





